色彩の抽出(演出)で表現しよう

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作例作品の被写体
作例作品の被写体

カラー作品にとって色は大切ですが、その色を写真で表現するのは決して簡単ではありません。

たとえば、青い瓶があったとして、その青い瓶を単純にテーブルの上に置いて写真を撮っても、何の変化もなく面白みがありません。

アート作品としての写真は、数あるモチーフの中から一部を抽出してデザインすることや、デザインの中に抽出したモチーフを入れるという二通りの方法があると考えています。

今回の作例は、デザインの中に抽出したモチーフを入れるという例です。

香水の瓶を撮影したものですが、瓶の色はブルーでした。しかし横から見ると透明なボトルのようにみえます。

そこで、この形をカラフルで連続的に表現してリズム感を与えることを思いつきました。このイメージを再現するには多重露光が効果的だと感じ、黒紙で光が漏れるのを防いで、下からライトを当てて5回露光をしています。

赤・黄色・ストレート・緑・青と少しずつ構図を変えてレイアウトして今回の作品になりました。データは100ミリマクロ f8 1/160sec  ストロボ使用。

ここで大切なのは色彩の連続性と形のリズム感です。ただ横並びに撮影しては面白味がありませんし、重ねすぎても連続性が出ません。

しかし、最も大切なのは既成概念とらわれないということです。

香水の瓶を香水の瓶として捉えるのではなく、ひとつのモーチーフ(被写体)として捉え、その中からデザイン的な要素を抽出して表現をする。

今回は色を抽象した作品ではなく、演出した作品ですが、色を使ったアブストラクト(抽象的)な表現も、写真撮影の楽しさだと思っています。

興味のある方は、是非チャレンジしてみてください。