写真は焦点距離(レンズのmm数)によって決まる。
これは、写真上級者なら納得できる事実です。
写真を趣味としている人は、レンズの構成を標準域を含む標準ズーム(24-80mm)と、望遠ズーム(80-200mm)などを中心に揃えています。
もちろん、更に広角、望遠のズームレンズを揃えている人も沢山いますが、基本的には全ての画角を用意することが多いですね。
風景写真においては、その作品の性格上レンズのラインナップは重要ですが、撮影に際しては、撮影者の撮影しやすいポジションから撮影されることが多く、撮影意図よりも、撮りやすさが最大のポイントになっています。
今回のサンプルは同じ被写体を、レンズの焦点距離を変えて撮影をしています。
左の作品は、苔と緑の葉を中心に緑色の構成で、パースを強調せずに構成して静かな佇まいとしての渓流を表現しています。
右の作品は、左作品の左1/3程度の位置にある苔むした岩(左端の大きな曲がった枝で位置関係がわかると思います)にかなり近寄り、渓流の中に三脚を設置して手前から奥へ遠近感を強調して撮影をしています。
全く同じ被写体で、同じような比率で構成された作品ですが、印象が全く違っているのが分かると思います。
写真は、今回のケースのようにレンズの焦点距離で全く異なったイメージになります。
よって、安易にズームレンズを使って画角を決めるのではなく、撮影イメージを思い描いてから、レンズの焦点距離と撮影距離を決めて撮影する癖をつけましょう。
そのためにはレンズの画角を把握する必要があります。撮影地に着いたら、写真のイメージを明確に作り上げ、そのイメージに沿ったレンズのmm数を決める。
これは普段から意識しないと身につきません。カメラを持っていなくとも、イメージした画角と実際のレンズのmm数がどの程度であるかシュミレーションしてみましょう。これをドライシューティングといい、アンセル・アダムスも推奨しています。
これにより、レンズの把握やイメージの想定ができてくるようになり、写真の仕上げも上達します。
殆どの人は、写真撮影と仕上げ作業は別物だと思っていますが、上級者になればなるほど、仕上げのイメージから撮影をするようになります。
デジタルであれば、レタッチを含めた表現。フィルムであれば、ラボでの現像仕上げを想定して、露出やフィルターを決定する必要があります。
この意味がわかった時、レベルアップへの扉が開いたといっていいでしょう。
※今回のサンプル写真は共に、ISO100、PLフィルターを使用しています。