学校教育の現場でよく聞く「落ちこぼれ」という言葉があります。
授業の内容について行けない時に、そう言われますね。
ところで、
人の能力は千差万別で、数学が得意な人もいれば、国語が得意な人がいます。
それを、押しなべて能力をあげようとするから「ついていけない」ということになるのです。
よくある例ですが、天才はひとつの能力に優れているものの、他の能力が極端に劣っている場合があります。逆に言うと、このギャップをして天才といえるのかもしれません。
つまり、ひとつの能力に長けている場合、長けている部分への集中力が高い分、他への意識が劣るのではないでしょうか。
写真の場合も一緒です。
スナップが得意な人もいれば、風景が得意な人もいる。
感覚的に写真を理解する人もいれば、論理的に理解しなければ納得出来ない人もいます。
私は写真を感覚的に捉えるタイプですが、感覚は人に伝わりにくいので説明はどうしても論理的な観点から伝えるようになります。これは言葉を使用する以上、仕方ありません。もちろん、できるだけ皆さんに理解しやすいように論理的な解説の中に感覚的な要素を織り込んで説明しようとしていますが、理解のスピードには個人差があるのです。
この個人差こそが個性なので、理解するスピードが違いは、全く問題ありません。
感性で物事を把握する人に論理的な説明をすれば、理解に時間がかかり、論理的に物事を把握する人に、感覚的に説明をすれば、理解に時間がかかるのは、当たり前です。
デジタルが主流の現在では、基本的なパソコンのスキルが求められます。これは完全に論理の世界です。感覚は通用しません。
写真を仕上げる際もそうです。
ブラシツールを使った後に、スタンプツールを使いたければ、ブラシツールを終了して、スタンプツールを選択しなければ使用できません。イメージ的にこうしたいと思っても、全て選択、完了という作業が必要になります。大体こんな感じ、と言うのは通用しないのです。
ところが、感性(イメージ)は、大体こんな感じ…なのです。
しかし、写真の能力を高めるためには、このギャップを埋めることが、写真全般のスキルアップに繋がります。
いままでの経験から言うと、理解の初速が早い人は、ある程度進むと鈍化して、初速の遅い人は、ある程度進むと伸び率が高い。
結論をいうと、ある程度のスキルをマスターするためには、同じぐらいの時間がかかるのです。
つまり、ついていけないと感じている人は、初速が遅いだけなので、全く心配ないということです。
写真は誰でも簡単に始められる趣味ですが、極めようとすると、とても奥深い趣味です。
長いスパンで理解してこそ、その真髄に触れることが出来ます。
最初のつまづきで、諦めたり、投げやりにならずに続けてください。
趣味は、学校教育と違って卒業(一定レベルをクリアしたとき)に期間の制限がありません。
周囲の人が短期間で理解しても、自分は自分のペースでスキルアップしていく。童話のうさぎとカメの話ではありませんが、自分のペースでスキルアップする人ほど、成長力が高いという実例は枚挙に暇がありません。