今回は、基本に戻って望遠レンズの使い方です。
群生している花を撮影する場合、背景をボカして群生している様子を表現することが多いのですが、更に効果を上げる構図テクニックとして、前ボケがあります。前にボケを入れることで、ソフトなイメージと群生している様を表現できるので、望遠やマクロ撮影などでは多用される表現です。
しかし、ファインダーを覗いて前ボケ撮影したにもかかわらず、写った写真は綺麗にボケていないことがあります。
これは、絞りが原因です。絞りを絞っているにもかかわらず、ファインダー越しの画像は絞り開放で見ていることで起きる現象です。
例えて言うなら、開放絞りがF4のレンズを使用して、絞りをF16にして撮影している時に起きる現象なのですが、実のところ前ボケの撮影は、絞りよりも撮影距離とレンズのミリ数(焦点距離)がとても重要になります。
結論をいうと、前ボケを効果的に撮影するには、できるだけ望遠を使い、前ボケにしようとする被写体をレンズの近くにレイアウトして、ピントを合わせる被写体と背後にぼかす被写体の距離が離れているところを選び撮影をします。
更に、絞りは開放近くにすることで効果を発揮できます。
よって、どんな被写体でも前ボケとして効果がだせる被写体では無く、前後にボケる被写体が撮影ポイントになります。
撮影に際しては、ファインダーを覗いてからレンズのミリ数を決めるのではなく、あらかじめレンズのミリ数を決めてから、被写体に近づいてその画角に収まるように自ら動き構図を決める。この方法こそ写真撮影の基本です。
まさに、写真撮影はレンズのミリ数(焦点距離)ありき。
補足になりますが、このボケの効果はセンサー(フィルム)サイズにより効果が違ってきます。同じ絞りを使用してもセンサーが小さいとボケにくく、大きいほどボケやすくなります。通常の使い方であれば、コンパクトカメラは、前ボケ撮影は効果的に表現できません。
【撮影データ】
sample1: 640mm f6.3 1/250sec 中央部重点測光 +1補正 ISO400
sample2: 300mm f5.6 1/320sec 評価測光 +1.3補正 ISO400