フィルムカメラは、メーカーが発売しているフィルムに色調・コントラスト・階調などを依存していましたが、現在のようにデジタル全盛になってくると、メーカーの色調やコントラスト・階調までも自分でコントロールできる時代になりました。
肉眼で見える世界は、見る人の思い込みで階調やコントラストを変えてみています。俗にいう記憶色もそうです。
ほとんどの方は、実際に見た色調を思い出すのではなく、必ず実際の色調よりも彩度が高くなった映像を思い起こします。当然コントラストもそうです。
ほとんどの場合、写真として表現する際に、メリハリが無いと画像がボンヤリと見えるのでコントラストを高く表現したくなります。
その上、フィルムのキャリアの長い方はリバーサルのようなコントラストが写真として適切なコントラストだと感じていますから、コントラストは高めな表現になります。このことが①のような仕上げになる原因です。では、見た目あまり変わらない②はどうでしょうか?
どこが違うか分かりましたか?
はっきりさせたいという意識から、コントラストを高くして、シャープをかけて必要以上に輪郭を強調してしまう例がよくありますが、過度なシャープはブルーム(輪郭に白い筋が見える現象)が目立ち、階調が欠落して美しい写真とは言えません。
かと言って、ボケたようなコントラストない仕上げではインパクトが不足してねむい(業界用語で、コントラストの弱い締りのない画像を「ねむい」といいます)だけの写真になってしまいます。
先に述べたように、写真を美しく仕上げるためには、見た目の印象をいかに効果的に表現するかです。
ですから、撮影したデータから、全体にコントラストを強調するだけでなく、階調を出すべきところは階調をだして、彩度を上げたり、下げたりして色調もコントロールして自分自身のイメージを完成させます。
そういう意味で、デジタルは本当の「写真表現力」が試されると入っても過言ではありません。
では、どうするのか?
それは、表現するべき技術を学び、適正な判断力をもつ上級者に評価してもらうことです。
コントラストを強調する方法がわかっても、それをどの程度にするか、階調とねむいと言われる差はどこが違うのか。思い込みで仕上げをしていないか。様々な要素は、写真を見る目と、それを解決する方法・技術をもっている指導者にのみ指導可能だからです。
写真を評価することができても、PhotoshopやLightroomなどのツールの使い方を知らず、解決策を見いだせない写真家や、ツールの使い方はよく知っているが、写真そのものをよく知らないパソコンインストラクターに聞いても写真表現は上達しません。
※②の作品は下部の緑の階調を出しています。