最近ではすっかりデジタルが主流になり、フィルム派は少数になって来ましたが、これは写真業界にとっては歓迎すべきことです。
こう言うとデジカメが良くて、フィルムはダメだという意味に捉えられそうですが、そうではありません。
デジタルの普及により、フィルム時代では色々な制約があり、イメージを正確に作品に伝えることが出来なかったというジレンマが、かなりの部分で解消されたという意味です。
特にペーパー(印画紙)の種類の多彩さがその一例です。
20年ほど前であればカラープリントといえば光沢プリントしかなく、写真のイメージによっては光沢ではなく、無光沢で仕上げたいと思ってもマットペーパーがなかったので、富士フィルムのエアーマットというスプレーをプリントに吹きつけてマットに仕上げていました。いまでいうダリングスプレーです。
たとえば、バライタといえば、モノクロ専用ペーパーでした。
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http://www.cosmosint.co.jp/php/papers/baryta.php
その美しい艶と濃淡の再現性はRCペーパーとは比べ物になりません。しかし、仕上げに関しては、とても時間がかかり、多くの手間を必要としました。このバライタペーパー(高価ではありますが)を現在では、インクジェットでカラープリントできる様になりました。しかも、特に手間を掛けずにプリント出来ます。
すべての写真に合うわけではありませんが、絵柄によっては、このバライタペーパーでプリントすることで、シックで落ち着いた印象と油絵のような艶感が表現されて、とても美しい作品に仕上がります。
最近では、フレスコジクレーというフレスコ画と同じテイストを持つペーパーも登場しました。このように様々なテクノロジーの進化は写真表現の自由化が益々進むと同時に、銀塩写真の最大のデメリットといわれる保存性の問題を解決しました。
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これらの進歩によって、写真は多彩な表現が可能になるだけでなく、芸術の基本ともいえるアーカイバルについても問題を解決してきています。
作品が200年から300年を経ても文字通り色褪せない。
写真を制作する意欲が益々高まる時代になって来ましたね。