写真を始めて、ある程度レベルが上がってくると写真が撮れなくなってくることがあります。
何故、撮れないのでしょうか?
それは、結果が想定できるようになるからです。
つまり、いい結果が予想できたときはシャッターを切れるが、いい結果を予想できないときはシャッターをきることが出来ないということなのです。
当然、いい結果を予想できるときは殆ど無いので、シャッターが切れなくなってしまいます。
以前、小学生の子供を写真撮影していた人が、なかなか子供の表情が上手く撮れなくて、撮影結果を液晶画面で確認するたびに首をひねっていました。つまり、思うように撮れなかったから、そのような行動をしたのですが、みるみるうちに子供の表情が硬くなって来ました。そして、最初のうちは笑顔だった子供はドンドン表情が硬くなり、その結果、上手く表情を作ることができなくなってしまったのです。これは、撮影者が上手く撮れないことを、自分が表情をうまく作れなかったことと考えてしまったことによります。
子供を含め人物撮影では、「のせる」ことが大切です。よくカメラマンがモデルにやっていますよね。「いいね~」「きれいだ~」等、傍から見たらちょっと引くぐらい大げさですね。でも、言われている方はそう思わないのです。でも、もっといいのは、いい表情になってきたら、間髪をいれずドンドンとシャッターをきることです。これが一番いいですね。この時あまり言葉をかけているとモデルは引き始めます。無言の連射が最もいい表情を出せます。
プロカメラマンはモデルの表情とリンクしてシャッターを切るので、モデルはドンドン乗ってくるわけです。
同じ事が風景でもいえます。
最初はいいと思った情景であっても、余分なものがあると、それが気になってアングルを変えたり、焦点距離をかえたりして撮影しようとします。
余分なところをカットしたのはいいのですが、構図のバランスが全くとれていないということになります。
写真で最も大切なのは、感性です。
被写体を見た時に感じた印象をそのまま撮影することは、とても重要です。
いいなと思ったら、まずシャッターを切ってしまう。
この行為がとても大切なのです。
あれやこれやと逡巡しているうちに、最初の印象は影を潜め、結局全く違った作品が出来上がってしまう。
なので、
いいなと感じたら、まずシャッターを切りましょう。
写真は一瞬が勝負です。
尚、最初に感じたことというのは、被写体だけでなく光の状況も踏まえて感じている場合が多いのです。
光が差し込んできたというほどドラマチックな状況でなくとも光は変化をしています。
いいと思った瞬間は光がBESTな状態だったかもしれません。極論をいえば、たとえその時に画角が少し傾いていても、あとで調整する手立てはあります。
しかし、撮影しなかったらどうでしょう。
「逃がした魚は大きかった」という気持ちになりますね。失敗体験です。この失敗したという気持ちが後々まで尾を引き、益々チャンスをのがしていく結果になるのです。
まず、シャッターを切ってから、気になる箇所があればアングルや画角を修正し、再度撮影をする。
光が雲間から出入りしているときは、光が射し込むチャンスを捉えるか、光が雲間にわずかに入った瞬間を捉えるなど、作品の印象に合わせて光を待つことも大切です。
しかし、なんといっても、まず撮影する。
ここが重要です。
写真はリズムが大切です。常に、リズミカルに写真を撮影していると、必ずチャンスに出会えます。このチャンスを引き寄せるためにもシャッターをきることです。
実はチャンスと思える状況は自らが引き寄せています。よって、写真はレベルの高い人ほど、チャンスの頻度が高まります。
それは、被写体には磁力があり、その磁力に波長を合わせることが出来るからで、自分の撮りたいイメージが鮮明にあるから、自然と感知できる能力が高まるのです。
ここで重要なのは、闇雲に写真を撮ることと、ドンドン写真を撮るということは同じではないということです。
やたら滅多に撮影している人がいますが、これは主体性の無いことを表しています。とにかく、どんなものでも撮っておこう。いいものがあるかもしれないからと撮りまくる。
このような人ほど、写真を選ぶ際にどれを選んでいいか分からない。
当然ですね。何を撮りたいか、どう撮りたいか、どう表現したいのか決まっていない人だから、何を選んでいいかも分からないのです。
このことが思い当たる人は、テーマを決めることをお勧めします。
今日の撮影は、光をテーマに撮ろうとか、新緑をテーマに撮ろう。歴史を感じるものを特に注意して撮っていこう等どんなことでも結構です。
そうすると、テーマに合うものを自然と探すようになりますから、無駄に多く撮るということはなくなります。
テーマを決め、ファーストインプレッション(第一印象)を大切に、リズムをもって、楽しみながら撮影をしてください。