風景写真は造形の抽出である。
かつて、アンセル・アダムスはこのように言っていましたが、まさに至言です。
一般に風景写真を撮影しようとすると、名所・旧跡を題材に作品を撮る人が多いけれど、風景写真家の多くは決して名所・旧跡を題材としていない場合が多い。また、題材にしていても、ありきたりの条件で撮影することも少ない。もちろん、名所・旧跡であっても写真作家によって作品の出来上がりがまるで違っていることも多く、感性の違いが作品に反映されるといっても過言ではありません。
では、そのキーワードとは何か?
それは、対象を見つめる眼力、審美眼につきる、強いて言うならイメージ力。風景を単純に切り取るだけでなく、写真作家は、風景を撮影するとどのように写るのか(どのように仕上げるのか)をイメージできる。だから、見た目はさほどでもないと思われるようなものが写真家の手にかかると、作品として十分な存在感をもって表現される。これだけでは抽象的なので、具体的に言うとなにかといえば、手始めに意識しなければならないのは「光」。
立体感ある写真に仕上げたければ、光のコントラストは不可欠で、ソフトで柔らかな被写体を選ぶのであれば、光もソフトな光のほうが効果的。更に、その際、大切になるのは焦点距離で、望遠で絞りを開ければソフトな印象を与えることができて、広角で絞りを絞って、パンフォーカスで全体にピント合わせれば遠近感や立体感を強調できる。
写真は2次元上に再現される芸術だから、この強調がとても大切。写真を始めたばかりで、どのように撮ったら良いか分からない方は、この強調というキーワードに加えて、余分なものを入れないように省略という要素を頭において被写体を探すといいです。
単純に言うなら、写真は光を捉えて、強調と省略を意識することでグッと良くなります。
そこで、今回の解説動画はND400。なぜND400かと言えば、このフィルターを使うことで海の波しぶきが全くなくなりフラットに表現されるからです。波や水面というのは写真の占有率が少なくとも結構目立つ、それをND400を使うとスタジオの背景紙のようになり、手前の風紋を目立つようにしてくれます。これは、省略効果です。以上のように、光によってコントラストを高めて風紋を目立たせ。広角レンズで強調し、ND400によって省略すると、カッコイイ砂丘の風紋写真を撮ることができます。ぜひお試しください。