最近はめっきりデジタルでの撮影が多くなったが、時折無性にフィルムカメラで撮りたくなる時がある。
しかも、そのカメラは決まっている。
ご存知、ハッセルブラッドである。
ハッセルブラッドはいうまでもなく、プロ機材の最高峰に位置していたカメラで、現在はフィルムバックをデジタルバックに変えたり、ハッセルブラッドデジタル版のカメラもある。(デジタル版は正方形ではない)
しかし、ハッセルはフィルムがいい。
それは、ファインダーを覗いた時に正方形に見えることのみならず、ボディの質感・巻き上げの感触・シャッター音の全てが感性を刺激してやまないからである。
勿論、写真のスタイルは色々あるが、そのスタイルと空間にマッチしたカメラに出会うことはなかなか無い。
写真の専門学校で初めてニコンのF2フォトミックを使い、コンタックス・MINOLTA・キャノン・ローライ・その他数多くのカメラを使用してきたが、ハッセルブラッド程、肌に合う(感性)にあったカメラは皆無であった。
Zeissレンズのもつ、骨太でありながら繊細さを失わない艷やかで滑らかな描写力が最大の魅力でもあるが、それだけでなく120というフィルムサイズが、レンズの性能を最大限に引き出しうるということも魅力を増している。
良いカメラとの出会いは写真の内容・質を変える。それは、人生をも変えてしまうのではないかと思う。
さて、その使い方としては、マニュアルがベストである。
マニュアルなら、露出計が必要であり、ハッセルに最も合う露出計がペンタックスのデジタルスポットメーターであると断言できる。
なんといっても、この露出計は見やすい。露出計のファインダー内で表示が赤くEV値で表示されるので暗くても、明るくても見やすいのである。
液晶のように暗すぎても明るすぎても見づらくなることはない。
EV値だとシャッタースピードと絞り表示に変えないと分かりにくいと思うだろうが、ハッセルブラッドは、シャッタースピードのリング部分にEV値がオレンジ色で表示されているのである。更に、絞りのリングについているロックボタンを押しながら回転させると指定したEVのままシャッタースピードと絞りの組み合わせを選択できる機構になっている。まさに、マニュアル志向なカメラなのである。(C/CF/CFi)
この説明はハッセルブラッドをもっていないと、よくわからないであろうが、兎に角スピーディなのである。
露出計は光を読むために重要なアイテムで、露出計により作品のイメージが湧くようになる(勿論、経験を必要とはするが…)。
かのアンセル・アダムスが愛用していたツールであることが、分かる逸品である。
※このデジタルスポットは表示がデジタルなだけで、操作は全く従来通りのアナログな露出計であり、ISO感度を変えた時にEV値が変わらないので、ISO100ならそのままのEVで使用可能だが、その他フィルムに使用する際は、EV値に補正が必要になる。その他、ストロボ光が測定できない等あるが、それでもハッセルブラッドのパートナーとして魅力的な露出計であることに違いはない。