金環日食の撮影ポイント

本州では129年ぶりの天体イベント金環日食の件で、お問い合せをたくさん頂いたので、作品にするヒントをひとつ。

まず、はじめに通常撮影では、風景の中に金環日食を入れて撮影するのは不可能です。これは光量の違いです。通常の風景は、晴天時でもEV13程度ですが、金環日食(つまり太陽)の明るさはEV値換算で言うと、EV30相当です。つまり露出差がEV17相当あります。そこで、フィルム撮影なら一度日食だけを撮影して、通常の風景はハーフND8を使用し、空を暗くして撮影したものを多重で重ねるということになります。デジタルなら日食を撮影したものと、風景をレイヤーで重ねあわせ画像処理をして合わせることが可能ですが、フィルム撮影では自然なイメージとして撮影することは不可能と言えますね。

風景としてではなく、日食そのものを撮りたいというのであれば、レンズは35mm換算で600mm以上の望遠レンズが必要です。このブログのトップ写真の大きさは1248mmなので、金環日食のみ撮影ということになれば1000mm以上必要ということになります。しかし、太陽は小さくとも、段階的に欠けていく様子を多重で撮影するなら300mm程度でも何とかなりそうです。ちなみに、多重露光というと露出補正というイメージがあると思いますが、背景が全く映らないので補正は必要ありません。

撮影場所は、事前に太陽の位置を把握する必要があります。近くに障害物のない場所を選びます。連続撮影を試みるなら、太陽が移動する位置も把握する必要があります。これは、スマホやiPhoneなら無料のアプリがありますのでダウンロードして撮影前日までに把握しておいたほうがいいです。連続撮影されるのであれば、当然ですが縦位置撮影になりますので、セッティングを横にしないようにしてください。

次に、機材の説明ですが、富士フィルムのND4.0は約13絞(13+1/3)り減光します。これがケンコーなどでいうND10000です。

そして、ND100000はそれよりも3絞りアンダーになるので、16絞り~17絞り程度ということになります。

富士フィルムの説明によれば、ND10000でISO100感度で、絞りは8、シャッタースピードは1/2000秒。ND100000で同絞り、1/250秒となるそうです。(マルミは金環食時に1/125秒と記載されています)

もちろんこれはかけ方によって差が出ます。当然ですが、ピントや露出はすべてマニュアルになりますので、状況に応じたデータの詳細をプリントアウトしておいて、状況に応じて露出を変えて撮影してください。

 

マルミのホームページに詳細データが載っています。

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http://www.marumi-filter.co.jp/shootingsun/

 

ちなみに、輪郭をはっきり出したいのであれば、ND100000が必要だということです。十分減光しないとフレアが出るということですね。

 

金環日食の具体的な撮影方法。機材等は富士フィルムのホームページにも載っています。

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http://fujifilm.jp/support/information/eclipse2012/index.html

 

機材がないという方は、写真教室にご参加の皆さんならすでにお持ちなはずの、ND400+ND8+PL(ND4)ぐらいがフジのND4.0(ケンコーND10000)のデータに近いということになります。

それでは、晴天を期待して(^^♪